プログラムcontinued(15th Style)を解剖する
今月3日に音源がリリース、そして10日にMVが公開されたUNISON SQUARE GARDENの『プログラムcontinued(15th Style)』。今回はそれについての話。
<前作『プログラムcontinued』との比較>
「さも当然のように」→「また当然のように」
事前に歌詞を変えるとアナウンスされていたものの、まさか一言目から歌詞が変わるとは思っていなかった。ちなみに、ライブ当日(6月25日)は「なお当然のように」だったと記憶している。この時点ではまだ決定している段階ではなかったのだろう。
「ひょっとしたら日増しに ほら 大きくなって 重たくなってしまう?」
→「乗り越えても すり抜けても 形を変えて襲いかかってしまう?」
ひとつの「悲しみ」を乗り越えても、また別の「悲しみ」がやって来ることを示しているのだろう。
「ああ 焦りそうな東京ジャングル 足をとられてしまいそうだよ」
→「ああ ノイズが舞う東京ジャングル 油断したら迷っちゃいそうだよ」
「ノイズ」は都会の喧騒を示したものだと思われる。また、今年多くのインタビューで「15周年は油断します」と語られていた「油断」というワードが、ここで用いられている。
「心の奥が疼いてる」→「体は今日も疼いてる」
これは感情や思考として認識するよりも、先に体が動くようになったことを表していると考えた。
「変わらず鳴ってるよ」→「褪せずにページを舞う」
これについては後にまた述べるが、シングル曲からの引用と思われる。
「あれは流星が降り注ぐ前夜 確かそんな日の出来事で 現時まで進行形」
→「それが生きてく理由ってことなんでしょう 映し出して 助走をつけて 跳ね回れ進行形」
これもシングル曲からの引用と考えられる。
「一見に関係ないことを大声で歌ってきたんだ たくさんの人が首をかしげてきたけれど」
→「一聴に難解なんてこと 盛大に鳴らしてきたんだ 贅沢に思うだろう? 思わないなら別にいいけど」
「一見」が「一聴」になっている(上手いなあと思う)が、変わらず言っているのは「一度見聞きしただけではよくわからない曲を演奏している」ということだろう。また、「歌って」が「鳴らして」になっていることから、ボーカリストだけのものから、バンド全体のものとして視点が変わっていることがわかる。
「4000日くらい」→「5000日ちょっとくらい」
これについては、『センチメンタルピリオド』の「高性能のヘッドフォンなんで世界の音も聞こえません」を踏まえているという話は有名なので、知っていた人も多いと思う。ちなみに24日のライブでは「5500日ちょっと」と歌っていたらしく、365×15=5475であることから、『センチメンタルピリオド』が結成してすぐ、かなり初期からある曲だということがわかる。
「時々は聞いていないフリ」→「大事なものはもっとある」
若干投げやりとも取れる言葉から、より信念めいたものを感じさせる言葉へと変わっている。
「乱暴な真相めいたこと 頑固意固地ってきたんだ あんなやつらには気付けそうもないだろう」
→「残酷な現実なんてもの 隠さずに鳴らしてきたんだ 目をこらしても わからないならざまみろ!」
これもシングルからの引用と思われる。後述。
「未来保証のサイコロを投げたけど きっと何もわからないまま」
→「優しくなくても 正しくなくても 今日ぐらいは祝ってくれないかな」
これもまた、シングルからの引用。また、10周年のときにはなかったお祝いを求める言葉が新たに組み込まれている。まさしく、油断しているんだな~とわかる歌詞である。
<その他の曲からの引用>
・元々あったもの
『フルカラープログラム』
『プログラムcontinued』は元々この曲の「セルフアンサーソング」として作られた曲であるため、この曲からの引用も多い。
「いつか終わる悲しみは、どうか忘れないでよ」→「悲しみは今日もやって来て」
「東京ジャングルの空の下」→「焦りそうな東京ジャングル」
「虹を作ってみよう」→「虹みたいな音楽」
「ふざけろ!」→「ふざけろ!続けフルカラー」
『一人思うは雨の中』
「森の中の秘密基地とか」→「秘密基地で会う約束をしよう」
『アナザーワールド』
「到来の鐘が鳴った」→「小さく明日のベルが鳴る」
『kid, I like quartet』『桜のあと~all quarters lead to the?~』
「むかついて蹴飛ばして」「ぶっ蹴飛ばしていけ」→「蹴っ飛ばしていいけど」
『箱庭ロック・ショー』
『流星行路』
「星も降るから」
・新しく加わったもの
「生きてく理由をそこに映し出せ」→「それが生きてく理由ってことなんでしょう 映し出して」
『mix juiceのいうとおり』
「一聴ではわからないなら それこそが贅沢な暇潰しなんて思いはしないかしら?」
→「一聴に難解なんてこと 盛大に鳴らしてきたんだ 贅沢に思うだろう? 思わないなら別にいいけど」
『10% roll, 10% romance』『Invisivle Sensation』
「現実が無数にあるだけ」「どうしても消えないままの残酷時計は」→「残酷な現実なんてもの」
『春が来てぼくら』
「新しいページに絵の具を落とす」→「褪せずにページを舞う」
「ざまみろ、これはぼくらの歌だ」→「わからないならざまみろ!」
『Catch up, latency』
「ロックバンドは、正しくない」→「正しくなくても」
まとめ
以上、詳しく見てきてわかる通り、『プログラムcontinued』、『プログラムcontinued(15th Style)』という曲は、UNISON SQUARE GARDENの多くの楽曲の要素を詰め込んだ曲となっている。要するに、これを聴けばUNISON SQUARE GARDENが今までどんなことを歌ってきたのかということがわかる、ベスト盤を1曲にまとめたみたいな曲だ。こんな風に寄せ集めても内容が通るということはつまり、どの曲も一貫して同じ哲学を基に書かれているということになる。田淵智也すごい。
今日はいよいよ大阪、舞洲で15周年の特別なライブだ。もちろん夏の野外会場でのワンマンなんて、普段のライブとは全く違う。でも、きっと彼らはいつものようにフルカラーの音楽を派手に鳴らして、私たちはそれを見て勝手に楽しむのだ。どうせなら、この際なら、虹を作ってほしい。そしたら誰も文句なんかつけらんないから。