THE KEBABSにインタビューしました

 


タイトルの通りTHE KEBABSというバンドにインタビューさせていただきました!(メールインタビューのため直接ご本人とお話ししたわけではないです。直接話したら今頃死んでます。いろんな意味で。)

 

THE KEBABSにインタビューしました

 

前説

 

そもそもTHE KEBABSって何者?

私のフォロワーさんやこのブログをご覧になっているような物好きな方々には耳だこかもしれませんが、一応ご紹介しておきます。THE KEBABSは2018年に結成されたロックバンドで、メンバーは

 

田淵智也さん(UNISON SQUARE GARDEN

佐々木亮介さん(a flood of circle

新井弘毅さん(ex.serial TV drama

鈴木浩之さん(ex.ART-SCHOOL

の四人です。

 

2月26日にはメジャーデビューアルバム『THE KEBABS』をライブ盤でリリースすることになっています。個人的にデビューアルバムがライブ盤ってめちゃくちゃアツいです。曲も個性的で下の曲は「踊れるやついるか」、「猿でもできる」この二つの歌詞しか出てきません。覚えやすいし楽しい。そしてなぜかかっこいい。

 

 

THE KEBABS / 猿でもできる (Official Music Video)

 

インタビューのきっかけと動機

 今回インタビューするに至ったのは、下のツイートを見かけたのがきっかけです。

 

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https://twitter.com/kebabs_band/status/1207223911324119041

 

最初は素人がこんなとんでもない方々にインタビューするなんて恐ろしくて絶対にできないな~とスルーしていましたが、最後の最後で滑り込み応募をしたところ、まさかのOKをいただきました。手汗止まらなかったです。以下はメールでお送りしたもの。

 

THE KEBABS又は音楽シーンに対する考え方と今回の応募に対する動機

 

THE KEBABSさんに関しては、食べ物に例えるとその名の通りジャンクフードのようなバンドだと思っています(頭を使わずに楽しめるが、味は本格的というイメージです)  

 

初めてその音楽を聴いたとき、個々の音楽活動とは毛色が異なる、それぞれの遊び場であるというような印象を受けました。これは、メンバーの方々が個々の音楽を確立させたからこそできるものだと思います。

 

 私は元々UNISON SQUARE GARDENさんのファンで、音楽においては歌詞に重きを置いて聴くことが多かったため、『THE KEBABSのテーマ』を初めて聴き、その歌詞を見たときはまるでコミックバンドのような歌詞だと思いました(コミックバンドも大好きです!)。しかし、曲中の歌詞や公式サイト等に「We're tasty Rock Band」とあるように、曲は想像以上にガッツリとしたギターロックで、そのギャップに胃袋を掴まれてしまいました。また、『ジャキジャキハート』の「みっともないのが当たり前だから つまりみっともないのがかっこよくなるんだぜ 一か八でもなんでもないんだ この道しか知らねえよ」という歌詞はTHE KEBABSさんの信念のようなものを感じて個人的にかなり好きな部分です(見当違いでしたら申し訳ないです)

 

 ライブにも何度か行かせていただいていますが、THE KEBABSさんのライブは他のアーティストに比べてお客さんが個人個人で自由に楽しんでいる人が多いなという印象です。事前に発表された音源が少なく、最初はどうやってライブを楽しめばいいのかと思っていましたが、次々に披露されていく初めて聴く曲たちに、気づけば夢中になっていました。決められたルール(最低限のマナーは必要ですが)がなくても楽しめて、かつ、誤解を恐れずに言えば、ふざけているのにかっこいい、お客さんにとっても楽しい遊び場のようなバンドであると思います。田淵さんがよく言及されている「一体感至上主義」のような概念は、THE KEBABSさんのライブには存在しないと認識しています。

 

次に、今回の応募に対する動機についてです。

 

前回のメールにも書きましたが、私は元々卒業論文J-POPの歌詞に関する研究をしたいと考えていました。普段関わることはほぼ絶対にないであろう、アーティストから直接お話を伺うことのできる貴重な機会だと思い、今回の応募に至りました。卒業論文には掲載不可ということで少し残念ではありますが、インタビューさせていただいた内容は、個人ブログの方に掲載させていただきたいと思います。また、自分の卒業研究について考察していく上でも、参考にさせていただけたらと思います。

 

今見返すと若干痛いですね。はい。

 

インタビュー内容

 前置き長くてすみません。ようやく本題のインタビューの回答です。今回は田淵さんと佐々木さんお二人が回答してくださりました!ありがとうございます!

田淵さん回答

 

・色々な方からのインタビューを受けていらっしゃいますが、今後もこのようなリスナーを巻き込む企画などをする予定はありますか

 

←一度こういうことをやると面倒な人も後乗りしてくる可能性はあると思うので、様子は慎重に見たいなとは思っています。ユーザーっていいやつ普通に多いじゃんというのは本当に最近思える様になってはいて、基本僕は性善説で生きているので、ユーザーのモチベーションのやり場を作ってあげることで世の中はもっと良くなると思っているのですが、元々街で声かけられるとか、近い存在だと思われる事にとてつもない嫌悪感があるので、結果僕の常識を飛び越えてくるやつを生む可能性を助長する形になるなら、こういうことは飽きるだろうなあとは思ってます。バンドやることが目的なのでそれ以外はなんでもいいです。

 

・THE KEBABSの楽曲の作詞の際に心がけておられること

 

←あんまり考えて取り組まないこと。矛盾や破綻を恐れないこと。

 

佐々木さん回答

 

・音楽的にはUKロック等を参考にされたと雑誌のインタビューにありましたが、歌詞の内容やテーマは何を参考にされたのでしょうか

 

←UKロックを参考にしたって答えてたとしたら、俺じゃないメンバーかな?THE KEBABSの曲で何か具体的な作品を参考にしたっていうつもりなくて。それってスタンスが尖ってるとかじゃなくて、THE KEBABSはそんなに学究的に曲を作っていない、という意味で。でもまあルーツが自然と出てるのはあると思う。「ホラー映画を観よう」のギター・リフとかちょっとブラック・サバスっぽいなって思うし、それは確かに「UKのロック」だな。

 

そんな感じで、「歌詞の内容やテーマ」に関して意図して参考にしたものとかは正直、特にないすね。

 

でもそれじゃこの話終わっちゃうもんね…

 

強いて言えば、THE KEBABSの歌詞は言葉遊びや直感が先行しているもので、その後で物語やメッセージめいたものが生まれちゃってるだけ、とは言える。

 

曲作りも同じ感じでやってて、基本的にはセッションで閃いたリフやビートを曲として展開させていて。コンセプトめいたものを用意してから作る訳じゃない。これは作詞もそう。

 

歌詞をじっくり書き込むと...直感で出てきた言葉よりも重たくなってしまうというか、「表現のスピード」が遅くなるというか、真面目になっちゃうというか、しっかりしちゃうというか、良い子っぽいというか、整合性が取れちゃうというか、何か大事なことを言葉で伝えようとしちゃうというか、逆に「直感で書いたかのような違和感を持たせよう」みたいな狙いが滲み出ちゃう時もあるというか、そういうもの達、THE KEBABSがあんまり求めてないもの達が発生してくる。

だから、たまたま何かを参考にしてないんじゃなくて、意志を持って何も参考にしてない、とは言える。

 

 

 

・J-POP(特に邦楽ロックシーン)における歌詞の重要性についてどう考えていらっしゃるか

 

←たぶん俺達も分類されてしまうであろう「J-POP(特に邦楽ロックシーン)」というものにそこまで詳しくないけど、俺自身はリスナーとしても書き手としても歌詞が殊更重要に感じる時もあるしテキトーに書く/受け止めるくらいが丁度良い時もある。

 

しかし「重要性」ってどういうことだろう。

 

例えば 田淵さんが書いた「猿でもできる」という曲の歌詞には「猿でもできる」と「踊れるやついるか」の2行しか出てこないけど、俺には「これしかない、ぴったりの言葉が載っている」と感じられる。そしてこれを「田淵さんが15年のキャリアの中で培ってきたスキルをTHE KEBABSの表現のために直感的に引き算し尽くして必要最低限まで研ぎ澄ませた珠玉のもの」と捉えられる。だから、まあ「言葉」だけで考えちゃうと2行を繰り返してるだけの歌なんだど、これは「歌詞」だから、少ない言葉の方がそれを歌うたび/聴くたびに色んなニュアンスを入れたり感じたり出来もする。1曲の中で何回「踊れるやついるか」と問いかけてるのかわからないけど、俺は全ての「踊れるやついるか」をそれぞれ違う人の違う踊りがOKになるイメージで毎回違うニュアンスで歌おうって思うし。そうすると、重厚に書き込まれた言葉の連なりよりも少ない言葉の方が「歌詞」としてキラキラ輝いて見えたりもする。言葉数が多すぎると意味性やイメージが制限されやすくはなる気がするし。だから、少なくとも「猿でもできる」の歌詞は重要だと思ってるね。でも「こんなの思いつきでまじ意味のないどうでいい重要じゃない歌詞」と捉える人もいるだろうし、それでもいいし、そこはそれぞれだもんな。

 

聴き手が重要と考えていても、作り手がそこまでじゃないという可能性はあるかもな。だって、楽器の奏法、作曲/アレンジ、録音/エンジニアリングに関する本や雑誌って山ほどあるんだけど(「ギター・マガジン」とかね)でも「歌詞マガジン」ってこの世にない訳で。歌詞を語る本の方が、器楽的なものに比べて圧倒的に少ない。音楽全体の話と考えれば、歌詞のない音楽の世界だってめちゃくちゃ面白い訳で、まあ歌詞について語るべき音楽の世界の方がむしろ狭いとも言えるかもなんだけど。ともかく、そういう状況だけを切り取ってみると、歌詞を学究的に研究しようって人が少ないからなのかな?とは考え得るよな。楽器の技術的なことほど共通言語を持って歌詞を語り合うのは難しいと思われてるのかも知れないけど、だとしても例えば現代詩を文学的に学究的に扱ってる雑誌はいくつもある訳だから。

なんとなく踏み込めないパーソナルなものとして、もしくは「降ってくる」的なもの/神格化とまで言わないけど「有り難いもの」として扱っちゃうと、それについて語り合う事とか批評性が必要ないと考えられちゃうのかも知れない。もちろん批評精神のある人もたくさんいるし重要視されてないとまでは思わないけど、今よりもっと重要視してみたら面白い発見もあるかも知れないとは思うね。

 

お二人ともご回答ありがとうございました! 

 

感想

 

 

今回はこんな貴重な経験ができて本当に幸せでした。直接お話ししたわけではありませんが、お二人の意見が聞けてとても嬉しかったです。

 

途中の志望動機のところにも書いてありましたが、現在大学生の私はJ-POPの歌詞研究についての卒業論文を書こうとしています。それは例えば曲自体が持つ物語の解釈であったり、アルバムの曲の構成であったり、今までのブログ(少ないですが)に書いてきたようなものをよりパワーアップさせたようなものです。

 

佐々木さんが回答で、「歌詞を学究的に研究しようって人が少ない」とおっしゃっていた通り、実際J-POPの歌詞を研究してる人は多くないです。先行研究も本当に少ない。でもTwitterとかでは歌詞の考察とかしている人は多いなと思います。なら、需要はあるのかなとも思う。今回のインタビューでより自分の研究に対するモチベーションが上がりました。

 

また、改めてTHE KEBABSというバンドは面白いバンドだなと思いました。あまり深く考えずに、シンプルな言葉を用いて、閃きや思い付きで作られた曲が、なぜこんなにも多くの人の心をつかむのか。

 

それはやっぱり彼らの音楽がかっこいいからなのだと思います。

 

私は普段歌詞を重視して曲を聴くタイプの人間なので、緻密に計算して作られた曲を解読していく感覚がとても楽しいと感じます。けど、THE KEBABSの曲はそれとは逆に、脳みそを空っぽにして楽しむような面白さがあると思っています。曲自体はめちゃくちゃかっこいいのに、歌詞はよくわからない。そのギャップも全部込みで、好きなバンドのひとつです。今度のライブも今後の企みもとても楽しみ。

 

 

今回のインタビューのような企画は田淵さんの口ぶりからすると今後はしないのかもしれませんが、参加できて光栄でした!長文にお付き合いいただきありがとうございました!

フェスマナーの話

何かと炎上しがちなフェスマナーの話です。全体的に独断と偏見がすごい上に口が悪い。

正直私みたいな弱小ツイッタラーがこんなものを書いたところで劇的に何かが変わるとは思いませんが、久々にフェスに行って色々思うところがあったので少し筆を取ることにしました。

まあスマホフリック入力だけど。



何がなんでも前で見たいマン



まず言いたいのは過激な割り込みについて。

正直好きなバンドは少しでも前で見たい。その気持ちはすごくわかる。

でも、それって周りの人を痛めつけてまでやるべきことですか?


少し前に某スリーピースバンドのワンマンライブで男の人が暴力をふるうような形で割り込みした、なんてツイートも見かけました。暴力はどう考えても良くない。

もちろん男は前行くなとかそういうことではないし、そんなの権利の侵害じゃんと思うので、好きなら性別とか背とか気にしないで前で見てほしい。

私も平均身長よりは少しある方だけど運良く前の方に行ければそこで見るし。

でも、周りの人に危害を加えてまで前に入ってくるのは違うと思う。


これってもちろんフェスでも言えることで、自分が好きなアーティストの出番になった途端に後ろからすごい勢いで突っ込んでくる人とか多いと思います。

でも、出たい人がいるのにそれを無視して前に行こうとするのはヤバくない?

あなたたちが突進することでその場に留まらざるを得ない人とか出てきちゃうよ?

そういう行為って、そのアーティストのファンの印象、引いてはアーティストの好感度を下げることに繋がりませんか?


グッズを身につけているのはアーティストの名を背負っているのも同然という意識は、日常生活ではもちろん、フェスのような色々なアーティストのファンが集まる場でも持つべきだと思います。

楽しみたい気持ちはわかるけど、周りの人に迷惑をかけてはいけない。



それ撮って大丈夫?



フェスに行ったら写真とか動画とか撮りますよね!私もフェスではフォトスポットとか食べものとか色々な写真を撮ります。友人と自撮りしたりとかもよくする。

そういう写真は思い出に残るものだし、もちろんバンバン撮って良いと思うんですよね。

でも、アーティストのリハって撮って良いんですか?


ステージにアーティストが出てきたら、前の方の人はようやく来た~!って拍手したりするけど、後ろの人は意外と写真撮ったり動画撮ったりしてるんですよね。(あと自撮りと見せかけてアーティスト写りこませたりとか。ヤベ~!)


基本的にどのフェスもライブ時の写真撮影は禁止されてます。

ライブじゃないからリハは撮って良いって、一休さんも呆れるようなとんちじゃないですか?


アーティストの写真は、あなたがスマホで撮るよりももっといいものをプロのカメラマンさんが撮ってくれます。

わざわざ周りの反感を買ってまで、限りなく黒に近いグレーな写真を撮るのは得策じゃないと思うのです。

画質もそんなに良くないだろうし。知らんけど。


あとフェスで多いのが、後ろで激しめに踊ってる人の動画を撮る人。

インスタにあげるのかなんなのか知らないけど、これはもう完全にアウトだと思うんですよね。

だってアーティストのライブの音が入ってしまっている。

さっきのリハの写真も普通に盗撮だと思いますが、これに関しては音源の著作権的に間違いなくアウトなので本当にやめた方がいいと思います。いっそ捕まれ。



認知されたガール



これは本当にアーティストやファンの文化それぞれで違うと思うんですけど、ウーン。私個人的には、アーティストがイリハケするときは少しは拍手するべきだと思ってるんですよね。

来てくれてありがとう、ライブしてくれてありがとう、っていう気持ちを伝えたいというか。


個人的にモヤッとするのは、若手のアイドルっぽいバンドのステージにいがちな女性ファン。

この人たち、一番最初に書いた割り込みもけっこうしてる気がする。

めちゃくちゃ前の方までその細い身体のどこにそんな力が?ってくらいの圧で入り込んできて、アーティストには全力の笑顔でひたすら手を振る、みたいな(完全に独断と偏見です)。


まあアーティストからしたら嬉しい存在かもしれないし、もしかしたら演者の知り合い(笑)なのかもしれないけど、割り込まれた周りの民は割と静かに怒ってると思います。

少なくとも私はもにょってます。すみません。



もはやカラオケ大会



アーティストによっては「歌ってください!」って煽ってきたりするので、そういうときは私もガンガン歌います。

その一体感が楽しいときももちろん多々あります。


でも、特に煽られてもないのにアーティストの演奏をカラオケ演奏みたいにして歌ってる人いるじゃないですか。

その声、周りの人に聞こえてるってわかってます?

あと、せっかく聞きに来たのにボーカルの声聞こえてます?


これに関しては別にフェスに限った話ではないです。

合いの手とかコールとか、各アーティストにそれぞれの文化があるのは重々承知しているつもりです。

でも、いわゆる“合唱厨”に関しては、嫌だな~って思ってしまいます。

「歌って!」って言われたらもちろん歌っていいと思うけど、そう言われてないなら歌わなくていいんじゃないかな~というのが私の意見です。


最悪なのは、こっちは集中して聴き入ってるのに、横や後ろから知らない人の声が耳に入ってくる。しかもそんなに上手くもない、みたいな(すみません)。


まとめ

色々書きましたけど、明確にマナーが提示されているわけでもない(撮影やモッシュ、ダイブ等は別にして)し、ライブ自体は、基本的には自由なものだと思います。

でも、自由が許されている以上、自分のわがままで周りの人を傷つけたり、気分を害すようなことをしたりしないようにとか、そういう注意はした方がいいんじゃないかな~なんていう愚痴でした。

フェス楽しい!!!

トリビュートの素人ライブレポ

2日間に渡り新木場STUDIO COASTで行われた、『Thank you, ROCK BANDS! 〜UNISON SQUARE GARDEN 15th Anniversary Tribute Live〜』

今回はそのライブレポである(あくまで素人のライブレポもどきです)。

行けてない方もたくさんいる中、映像化音源化が困難であるとのことで記憶の限り色々書いていこうと思います。


《28日》

Guest 1 大胡田なつき、成田ハネダ(パスピエ)

まず、ステージに現れたのは成田ハネダ。会場では歓声が上がったり誰?という声が上がったり(私は後者ですすみません…)反応は様々だったが、彼がピアノソロを弾き始めた瞬間、その声たちはすぐ静かになった。

そのまま彼の演奏で『絵の具』が流れ出すと、一気に興奮と緊張感に包まれる。いつもと違い、観客に挨拶をすることなく颯爽と現れる3人。これからどんなライブが始まるのか、観客全員が息を呑んで見守った。

そして突然流れ始めたのは『harmonized finale』のあのピアノのイントロ。これは本当にずるいと思った。会場内はまさに阿鼻叫喚。まさかこの曲が演奏されるなんて、誰も想像していなかっただろう。

感動的な幸福感に包まれる中、斎藤が挨拶をする。「1組目のゲストはパスピエから大胡田なつき!ナリタハネダ!いや~ニヤケちゃうなぁ(笑)」そんな斎藤にファンも表情を和ませる。

そして次に演奏されたのはトリビュートアルバムにも収録された『場違いハミングバード』。ユニゾンの曲なはずなのに、完全にパスピエの曲になった場違いハミングバードは、原曲以上にハッピーで、でも歌詞は少しネガティブで、そのギャップが余計に際立っているように感じた。

ラスト、3曲目に披露されたのはパスピエの『S.S.』。パスピエにあまり明るくないため、恥ずかしながら初めて聴いたが、めちゃくちゃかわいいし楽しいしかっこよかった。斎藤はギターを置いて歌ったり、跳ねたり、踊ったり、普段のユニゾンでは見せない姿をステージで見せていた印象。



Guest 2 佐々木亮介(a flood of circle)

2組目のゲストはa flood of circleから佐々木亮介。フラッドには田淵が楽曲提供をしていたり、某ケバブ組ではボーカルを務めていたりと何かとユニゾンファンに親しまれがちな佐々木亮介。いつもの革ジャン姿に酒缶2本を持って入場し、飲み切った缶をフロアに投げ込むその姿はまさしくロックスターだった。1曲目はフラッドの『シーガル』。ユニゾンのファンばかりが集まっているはずのSTUDIO COASTを、彼は数分で自分のホームにしてしまっていた(いい意味で)。

「トリビュートじゃない、ユニゾンの曲をやろうと思います。俺はそんなに厳しくないよ?」というフリとともに始まったのは『WINDOW開ける』。これもユニゾンの曲なはずなのに、もはや佐々木亮介のために作ったのか?というくらいに似合っていた。天才的な選曲だった。

そして最後に披露されたのは『フルカラープログラム』。ラストのサビ「涙キラキラ 西の空に光る モノクロでは説明できない」の部分をファンに歌わせるという、本家では空前絶後、見られない光景であろうめちゃくちゃエモい演出。それをあっさりとアウェイな環境でやってのけてしまう佐々木亮介は、本当にとんでもないボーカリストであると感じた。フラッドかっこいいのでライブ行きたい。



Guest 3 山田将司菅波栄純(THE BACK HORN)

1曲目はまさかの『BUSTER DICE MISERY』。真っ直ぐな声と歪んだギターで、普段のバスターとはひと味違う楽しさを味わった。テクニックだけでなく、重厚感でゴリゴリに叩き潰されるような感覚だった。

そして「当時、リリースイベントで僕と田淵が最前で見た曲です」という斎藤のMCから『涙がこぼれたら』が披露された。

最後はトリビュートに収録の『シャンデリア・ワルツ』。こちらも本家とは違い、サビの「ハローグッバイ」を会場の全員で歌うという珍しい光景を見ることができた。このときもそうだが、佐々木のフルカラーのときも斎藤がイヤモニを外して声を聞いていたのが印象的だった。

Guest 4 山中さわおthe pillows

聞き馴染みのあるドラムのリズムと共に現れた山中さわお。そのまま『RUNNERS HIGH』が始まる。曲中の「Just runners high!」という掛け声、会場のほぼ全員ができていたあたり皆オタクなんだなぁ、と思ってしまった(褒め言葉です)。

そして「中野のビッグエコーでめちゃくちゃ練習して、履歴がユニゾンだらけになってしまった」という『Cheap Cheap Endroll』。より凶暴性を増したボーカルに、会場は熱狂的な盛り上がりを見せた。

最後に披露されたのは個人的大本命の『シューゲイザースピーカー』。「あんたのバランスなんて聞いてない そうだろ?」という歌詞は、生で聴くと本当に痺れてもう何も言えなくなってしまった。この曲をpillowsがやる意味とか、色々考えてしまう。伝説的なバンドがやるからこそ、より歌詞が重みを増したように感じた。



Guest 5 東京スカパラダイスオーケストラ

鈴木のドラムソロからの欣ちゃん(茂木って書くの違和感凄かったので愛称でよろしくお願いします)のセッションに、会場が湧き上がった。私は死んだ。「欣ちゃん!欣ちゃん!欣ちゃん!」という呼び掛けに応えるように欣ちゃんも「タカオ!」と言葉を挟み、2人で同じリズムを繰り返したり、一緒に叩いたりしてどんどんと盛り上げていく。そして沖さんが入場してシンセが入り、いつものように『Paradise Has No Border』が始まる。しかしいつもと違ったのは、上手、下手、中央の順に回っていく射殺タイム(今命名しました)をユニゾンのメンバーとともにやったこと。上手、下手のときは斎藤と田淵しか前に来ることはなかったが、中央に来たときにはドラムの鈴木もスネアを持って真ん中に現れた。いくらなんでも超天変地異過ぎやしないか?欣ちゃんがいることでドラム自体に影響はなく、珍しくステージで踊る鈴木貴雄の姿を見ることができた。スカパラありがとう。

次に披露されたのは30周年を迎えたスカパラの方のトリビュートアルバムに収録された、『愛があるかい?』だ。もしかしたらやるかな~とは思っていたけど、生で聴くと愛が溢れてとにかくとてつもない多幸感に全身くまなく満たされた。音源の途中にもある、モントゥーノの再現もしっかりされていて感動してしまった(音源を聴いたら意味がわかると思います)。

そして最後に披露されたのは『桜のあと(all quartets lead to the?)』。スカパラVer.のアレンジをライブで観るのは全員初めてのはずなのに、サビのクラップがしっかり揃っているあたりがオ(以下略)。双方の魅力がたっぷり詰まった、目も耳も足りないライブだった。

Guest 6 LiSA

最後のゲストはLiSA。実はLiSAのライブをちゃんと生で観るのは(ケバブを除けば)これが初めてで、どんな感じだろう…と思っていましたが最高でした。

1曲目は『オトノバ中間試験』。これもまさかの選曲だったけど、とにかく自分の歌にしているなという印象だった。「息継ぎがてんでないじゃんか!」と田淵に詰め寄り、「あのね歌ってるのは怪奇怪奇なさいちゃんなんで呆れるまでユニゾンに任せといて」と捲し立てたところで観客中から歓声が上がった。女性アーティストではLiSA以外にたぶんこんな歌詞は歌えないだろう。

そして2曲目は『Rising Hope』。LiSAが歌うだけかと思っていたら、まさかの斎藤も原キーで歌っていて、一瞬幻聴か幻覚の類かと思った。なぜ原キーで歌える???(プロだからです)

そして3曲目はTwitterの予告通り『オリオンをなぞる』。ステージを縦横無尽に駆け回るLiSAを観るのにも普段と全然違う表情を見せるユニゾンメンバーを観るのにも目が足りず、なかなか大変だった。曲中、斎藤とマイクを共有して歌う姿に(色んな意味で)歓声が上がっていた。3曲しかやっていないにもかかわらず、圧倒的な満足感。ガッチリとハートを掴まれてしまい、これはみんな好きになってしまうな~という感想でした。


【28日セットリスト】

00.絵の具
01.harmonized finale
02.場違いハミングバード
03.S.S.
04.シーガル
05.WINDOW開ける
06.フルカラープログラム
07.BUSTER DICE MISERY
08.涙がこぼれたら
09.シャンデリア・ワルツ
10.RUNNERS HIGH
11.Cheap Cheap Endroll
12.シューゲイザースピーカー
13.Paradise Has No Border
14.愛があるかい?
15.桜のあと(all quartets lead to the?)
16.オトノバ中間試験
17.Rising Hope
18.オリオンをなぞる

En.プログラムcontinued(15th Style)

オタクが語るプログラム15th感想

 

タイトルの通り、オタクが感想を語るだけです。

 

セットリスト

 

01.お人好しカメレオン
02.シャンデリア・ワルツ
03.君の瞳に恋してない


04.流星のスコール
05.instant EGOIST
06.リニアブルーを聴きながら
07.Invisible Sensation


08.8月、昼中の流れ星と飛行機雲
09.オトノバ中間試験
10.カウンターアイデンティティ
11.Catch up,latency
12.プログラムcontinued(15th style)


13.黄昏インザスパ
14.春が来てぼくら

<MC>
15.水と雨について
16.harmonized finale
17.cody beats
18.10% roll,10% romance

<ドラムソロ~セッション>
19.天国と地獄
20.徹頭徹尾夜な夜なドライブ
21.fake town baby
22.シュガーソングとビターステップ

<MC>
23.さわれない歌
24.桜のあと(all quartets lead to the?)
25.オリオンをなぞる
26.センチメンタルピリオド

 

 

 

 まず、登場SEでイズミカワソラさんの『絵の具』が流れましたね。その時点で泣きそうでした。昼間に降った雨が嘘のように夕日が差して、2万4000人が見守る中にいつものあのメロディーが流れて…その光景だけでかなり涙腺に来てた。実際鈴木さんが入場したときには泣いてました。順々にメンバーが入ってきて、「ああ、本当にライブが始まるんだな」ってそこで実感しました。

 

(これは言おうか言うまいか迷ったんですが、このときモニターに映ったメンバー見て笑ってた方々は笑いの沸点が氷点下にでも設定されてるんですかね。DVD見たことある人ならわかると思うんですけど、この部分も映像化されるとしたら収録されるんですよ。やだなあ。ここでちょっと冷めそうになってしまった。いや、この程度で冷めませんよオタク舐めないでください。)

 

はい、愚痴はやめてここから曲の感想です。

 

 

01.お人好しカメレオン

 

 実は始まる直前に「15周年だしもしかしたらやるんじゃない?」なんて話してたんですよ(後出しみたいでダサぁい!)。でもまさか一曲目にこれが来るだなんてびっくりですよね。固唾を飲んで見守る中、斎藤さんの「ああ」って一声目であ、だめだと思ってもう口を塞いで泣いてました。皆が手を上げる中肩揺らして泣くことしかできなかった。何かのインタビューかラジオかで田淵さんが頑なにこれはやらないって言っていた記憶があるので、それをここで持ってくるあたりが本当にずるくて最高だと思いました。

 

 

02.シャンデリア・ワルツ

 

 これもさ~幕張の記憶が強いのでイントロで「またねぇっ!!!」って幻聴が聞こえてびっくりしました。こんな序盤にやりますか?普通。いや、ユニゾンは普通じゃない(誉め言葉)なのであれなんですけど…でももしかしたらこの曲を序盤にぶち込むことで私たち物好きに「わからずやには見えない魔法」をかけてくれたのかな、なんて思いました、今。うわ~セトリおじさん天才だ。

 


03.君の瞳に恋してない

 

 これもMMMの記憶が強いので(以下同文)。初っ端から多幸感を溢れさせていくセトリでもう気分は最高潮って感じでした。この曲やってるときに田淵さんが斎藤さんのところにかまってかまってしに行かないのも、鈴木さんが上着被って目隠ししてないのも新鮮で楽しかった。

 

 ここで斎藤さんが「今日は……長いよぉ??」って言ってたの、武道館のDVDを見ればわかるんですがそれを踏まえての言葉ですよね。5年越しに同じセリフで始まる記念ライブとか最高でしかなかった。


04.流星のスコール

 

 イントロが流れた瞬間にあ、これは我々を殺しにかかっているな、と悟りました。もうここでみんな舞洲に墓立てたでしょ?わかる。「一回だけしかないなら 一回だけで十分だ」「想い続けて 想い続けてさ ここまで来たんだよ」という歌詞がもうまさにこのプログラム15thというライブのことを歌っているのかと錯覚しそうなくらいだった。私はわがままだから何度だって見たいですが。

 


05.instant EGOIST

 

 問答無用で楽しくなってしまうこの曲。体揺らしてみんなで「フゥ~!!!」って言って本当に楽しかった。当たり前だけど、みんなユニゾン好きだから舞洲まで観に来てるんですよね。ここの一体感半端なかった。明日も頑張れそうです。

 


06.リニアブルーを聴きながら

 

 この曲、本当にかっこいいですよね。「誰かの正義とぶつかっても大丈夫だよ 僕は僕であれ」っていう歌詞、一見自分に言い聞かせているように思えるけど、私たちにも呼びかけてくれている気がしていつも心が救われる気持ちになる。「やがて迫った夕焼けが人一人を幸せにする」っていう歌詞がこの曲の演奏された時間にピッタリすぎてやはり天才だと思いました。

 


07.Invisible Sensation

 

 前回の記事で書いたようにプロコン(15th)の方に歌詞が使われていて、やるんだろうな~と思っていたのでうれしかったです。最近のシングルは全部タイアップだけど、ちゃんとユニゾンの信念みたいなものが感じられる歌になっているの、本当にすごいと思います。当たり前だけど、ライブでやり始めたころよりもめちゃくちゃ洗練された演奏になっていて、プロって凄いなあと思いました。あと、これはわかる人にはわかると思うんですけど、二番の「とんでもないので検証を続けます」のところで田淵さんを見ると幸せな気持ちになるのでおすすめです。

 


08.8月、昼中の流れ星と飛行機雲

 

 さわやかな雰囲気が晴れた空にすごく合っていてやはりセトリを組むのが巧すぎると思いました。もしかして8曲目だから8月なんですか⁉(違いますね)2月との関係が気になるので後日記事にしたい所存。

 


09.オトノバ中間試験

 

 これ本当に楽しかった。演奏が本当にキレッキレで楽しんでるのがこっちにも伝わって、幸せ空間でしたね。特に二番の「斎藤に任せといて」「出来損ないのスラップもcool」「このハットハットハットから急にbreak time」の3コンボで脳みそが溶けそうになりました。これもわかる人にはわかると思うんですが「制限タイムはあと少し?」の動きなんなんだろうな~かわいかった。

 


10.カウンターアイデンティティ

 

 これ~~~~~私が初めて聞いたユニゾンの曲なのでやってくれて死ぬほどうれしかったな…当時ソウルイーターをテレビで見ていて、オープニングだったこの曲も聞いてたんですけど、その時はこれを聞くたびに泣きそうになってた。まあその時はユニゾンだと認知はしていませんでしたが…いつかライブで聴きたいと思っていたので、15周年の特別な日に聴くことができて幸せでした。あとコーラスなんて言ってるか教えてほしい。

 


11.Catch up,latency

 

 もはやライブ定番曲となりつつあるこの曲。「正しくなくても」って歌っているけど、こんなにかっこいいバンド私は他には知らない。プロコン(15th)にも採用されているくらい、この歌詞はユニゾンというバンドにとって大切なものなんだなと思う。


12.プログラムcontinued(15th style)

 

 やるとは思っていたけど、意外と序盤でやるんだなあと思いました。でも武道館公演でもプロコンは13曲目だったので、たしかにそれならこのあたりでやるのも納得。「今日ぐらいは祝ってくれないかな?」という言葉の後に拍手が鳴っていたのはとても素敵だったなあ。この曲の歌詞については前の記事で詳しく考察しているのでお時間のある方はそちらもぜひ。

 


13.黄昏インザスパ

 

 いつか聴きたいけどもう聴けないんだろうなと思っていたんですよ。イントロで泣いた。ユニゾンってけっこう突き放したような感じの曲があったりするんですけど、この曲は比較的優しく受け入れてくれる印象があって。夕焼けに染まる会場でこの曲を聴けることで静かに喜びを爆発させていました。まさに、「絶好の瞬間」に演奏してくれましたね。


14.春が来てぼくら

 

 これもよかった。多幸感の塊が押し寄せてきましたね。みんな笑顔で演奏していて、お客さんもみんな笑顔で、会場全体が幸せな空気に包まれてた。「暖かな風が吹く」からマーチみたいなリズムになると思うんですけど、個人的にその部分が一番好きです。

 

 

<MC>

 

 相変わらず面白かった。「お前のホイールを回せ」っていう煽りに当時のファンはどうやって答えたのかすごく気になる。あと、ドラムに飛び込んでたっていうのはX JAPANリスペクトなんですかね。もしかしたら首にコルセットを巻いていたかもしれないのか…

 


15.水と雨について

 

 インディーズの曲も何かしらやってくれるんじゃないかと期待してたんですが、まさかこの曲が来るとは…一番最初のリムショットがあの会場に響き渡った瞬間、鳥肌立ちまくりでしたね。すごくかっこよかった。音源のイメージだとモノクロな感じなんですけど、生で聴くと急に色づいたみたいな感覚に陥りました。

 


16.harmonized finale

 

 そしていきなり泣かせに来るじゃないですか。まんまと泣きましたよ。「ずっと続けばいいな けど 終わりが近づいてるのもわかるよ」という歌詞がわかりすぎて辛かった。この特別な日という「今日が今日で続いていきますように」。エモ~~~~~

 


17.cody beats

 

 生で聴いてしまった…音源だと少し強い感じの歌い方という印象なので、今の3人で改めて聴くことができてよかったなあと思いました。この曲の「セロファンのテープで貼り直した歪なボーイミーツガール」がシュガソンのジャケ写になってるのは有名な話だと思うんですけどなんでなんですかね。「君の待つ場所」=「南南西」とか?ウーン違うだろうな~~~

 


18.10% roll,10% romance

 

 これも楽しかった~…もはやライブ定番曲ですよね。でもこんなにBPM早くて難しい曲を定番曲にしてしまうこの人たち、恐ろしすぎではありませんか?鈴木さんがとにかく笑顔で叩いててこっちも笑顔になりました。

 

 

<ドラムソロ~セッション>

 

 これです、最大の死因。月の映像は最初バグか?と思ったんですけど、欠けていた月がだんだんと盛り上がるドラムソロと共に満ちていく演出だとわかったときには鳥肌止まりませんでした。選んだのが月っていうそのチョイスも…最初はBSSSからとったのかと思ったんですけど、バンドの主役ではないドラマーという自分を表したものだとしたら…エモくて死んでしまいませんか?私は死にました。これを考えたの私のフォロワーさんなので崇め奉りたい。あと、のちのMCで言ってたと思うんですけど、

人間として欠けていた昔の自分=欠けた月

UNISON SQUARE GARDENとしての今の自分=満月

みたいな解釈もできるなあ~と思いました。考えすぎですかね。

 


19.天国と地獄

 

 セッションからみんな何の曲か察してテンション上がりまくってたな~~~!後半の「ヘイヘイヘイヘイヘイヘイヘイヘイヘイ~~!」のところで立ち上がってバシバシドラム叩く鈴木さんと死神みたいな笑顔貼り付けた田淵さんが好きだ…

 


20.徹頭徹尾夜な夜なドライブ

 

 激盛り上がり曲をぶち込んでいくスタイル、好きです。楽しかった~~~存在で10点満点だし演奏は100点満点。

 


21.fake town baby

 

 MMMに収録されたシングル曲たちは全部やってくれたんですね~。すごい。この曲も普通に死ぬほど難しいと思うんですけど、それを微塵も感じさせずにさらっとこなしちゃうのが本当にすごいと思う。


22.シュガーソングとビターステップ

 

 めっちゃ幸せだった。10周年のときは敢えてオリオンをセトリから外して、有名な曲以外にもいい曲あるぞ!っていうのを狙ったみたいな記事を見かけた記憶があるんですけど、今回は出し惜しみせずにガンガンやってくれましたね…

 

 

<MC>

 

 問題のMCなんですが、文字に起こすと確実に死んでしまうので割愛させてください。ひとつ言えるのは、私たちは最高のバンドに出会うことができたということです。

 


23.さわれない歌

 

 MCからこの歌への流れが最高でした。武道館ではやらなかったけど、舞洲ではやってもらえてうれしかった。この曲も流星前夜の歌詞を引用していたりしてバンドの中で重要な立ち位置にある曲なんだと思います。

 


24.桜のあと(all quartets lead to the?)

 

 この曲ではいつもは仏頂面になることが多い田淵さんが終始笑顔でよかったなあ。とにかく楽しそうだった。「今目の前の君が」の鈴木さん、何度見て惚れ惚れしますね。

 


25.オリオンをなぞる

 

 やっぱり今回タイアップというかシングルの曲が多かったな。UNISON SQUARE GARDENを代表する曲をたくさんやってくれて、本当にお祝いモード全開で楽しかった。

 


26.センチメンタルピリオド

 

 オリオンの「ココデオワルハズガナイノニ」からのこの曲…何度でも言うけど、田淵さんは天才ですね…私は一曲目にこれがくるんじゃないかと思っていたので、もしかしてやらないのか!?とかなり気が気でない感じでオリオンを聴いていました。なのであのセッションが流れてきた瞬間にもう泣いてしまいましたね。武道館で本編ラストだった曲を、今回も一番最後に持ってきたんですね…「それも別に悪くねえよ、バイバイ」という歌詞で終わるライブ、いいぞ~!という感じでした。

 

 

むすび

 

 とにかく最高のライブでした。アンコール無しとはいえ、曲数は26曲で武道館と変わらないし、その分ステージにいる時間を増やしてくれたのだと思うと、とてもありがたいことだと思います。特別な演出が最後の花火だけ、というのも素敵だった。こんなに楽しませてもらって、本当にお祝いできたのかな…と少し心配になるくらいです。素敵な時間をありがとう。また次のライブに行くことができるのを生きてく理由として、明日からも頑張ります。

 

プログラムcontinued(15th Style)を解剖する

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今月3日に音源がリリース、そして10日にMVが公開されたUNISON SQUARE GARDENの『プログラムcontinued(15th Style)』。今回はそれについての話。

 

<前作『プログラムcontinued』との比較>

 

「さも当然のように」→「また当然のように」

事前に歌詞を変えるとアナウンスされていたものの、まさか一言目から歌詞が変わるとは思っていなかった。ちなみに、ライブ当日(6月25日)は「なお当然のように」だったと記憶している。この時点ではまだ決定している段階ではなかったのだろう。

 

「ひょっとしたら日増しに ほら 大きくなって 重たくなってしまう?」

→「乗り越えても すり抜けても 形を変えて襲いかかってしまう?」

ひとつの「悲しみ」を乗り越えても、また別の「悲しみ」がやって来ることを示しているのだろう。

 

「ああ 焦りそうな東京ジャングル 足をとられてしまいそうだよ」

→「ああ ノイズが舞う東京ジャングル 油断したら迷っちゃいそうだよ」

「ノイズ」は都会の喧騒を示したものだと思われる。また、今年多くのインタビューで「15周年は油断します」と語られていた「油断」というワードが、ここで用いられている。

 

「心の奥が疼いてる」→「体は今日も疼いてる」

これは感情や思考として認識するよりも、先に体が動くようになったことを表していると考えた。

 

「変わらず鳴ってるよ」→「褪せずにページを舞う」

これについては後にまた述べるが、シングル曲からの引用と思われる。

 

「あれは流星が降り注ぐ前夜 確かそんな日の出来事で 現時まで進行形」

→「それが生きてく理由ってことなんでしょう 映し出して 助走をつけて 跳ね回れ進行形」

これもシングル曲からの引用と考えられる。

 

「一見に関係ないことを大声で歌ってきたんだ たくさんの人が首をかしげてきたけれど」

→「一聴に難解なんてこと 盛大に鳴らしてきたんだ 贅沢に思うだろう? 思わないなら別にいいけど」

「一見」が「一聴」になっている(上手いなあと思う)が、変わらず言っているのは「一度見聞きしただけではよくわからない曲を演奏している」ということだろう。また、「歌って」が「鳴らして」になっていることから、ボーカリストだけのものから、バンド全体のものとして視点が変わっていることがわかる。

 

「4000日くらい」→「5000日ちょっとくらい」

これについては、『センチメンタルピリオド』の「高性能のヘッドフォンなんで世界の音も聞こえません」を踏まえているという話は有名なので、知っていた人も多いと思う。ちなみに24日のライブでは「5500日ちょっと」と歌っていたらしく、365×15=5475であることから、『センチメンタルピリオド』が結成してすぐ、かなり初期からある曲だということがわかる。

 

「時々は聞いていないフリ」→「大事なものはもっとある」

若干投げやりとも取れる言葉から、より信念めいたものを感じさせる言葉へと変わっている。

 

「乱暴な真相めいたこと 頑固意固地ってきたんだ あんなやつらには気付けそうもないだろう」

→「残酷な現実なんてもの 隠さずに鳴らしてきたんだ 目をこらしても わからないならざまみろ!」

これもシングルからの引用と思われる。後述。

 

「未来保証のサイコロを投げたけど きっと何もわからないまま」

→「優しくなくても 正しくなくても 今日ぐらいは祝ってくれないかな」

 

これもまた、シングルからの引用。また、10周年のときにはなかったお祝いを求める言葉が新たに組み込まれている。まさしく、油断しているんだな~とわかる歌詞である。

 

 

<その他の曲からの引用>

 

・元々あったもの

 

『フルカラープログラム』

 

『プログラムcontinued』は元々この曲の「セルフアンサーソング」として作られた曲であるため、この曲からの引用も多い。

 

「いつか終わる悲しみは、どうか忘れないでよ」→「悲しみは今日もやって来て」

「東京ジャングルの空の下」→「焦りそうな東京ジャングル」

「虹を作ってみよう」→「虹みたいな音楽」

「ふざけろ!」→「ふざけろ!続けフルカラー」

 


『一人思うは雨の中』

「森の中の秘密基地とか」→「秘密基地で会う約束をしよう」

 


アナザーワールド

「到来の鐘が鳴った」→「小さく明日のベルが鳴る」



 『kid, I like quartet』『桜のあと~all quarters lead to the?~』

「むかついて蹴飛ばして」「ぶっ蹴飛ばしていけ」→「蹴っ飛ばしていいけど」

 

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『箱庭ロック・ショー』

超新星の波間で」→「超新星アクシデント」

 

『流星行路』

「星も降るから」

 

・新しく加わったもの

 

シュガーソングとビターステップ

「生きてく理由をそこに映し出せ」→「それが生きてく理由ってことなんでしょう 映し出して」

 

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『mix juiceのいうとおり』

「一聴ではわからないなら それこそが贅沢な暇潰しなんて思いはしないかしら?」

→「一聴に難解なんてこと 盛大に鳴らしてきたんだ 贅沢に思うだろう? 思わないなら別にいいけど」

 

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10% roll, 10% romance』『Invisivle Sensation』

「現実が無数にあるだけ」「どうしても消えないままの残酷時計は」→「残酷な現実なんてもの」

 

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『春が来てぼくら』

「新しいページに絵の具を落とす」→「褪せずにページを舞う」

「ざまみろ、これはぼくらの歌だ」→「わからないならざまみろ!」

 

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『Catch up, latency』

「ロックバンドは、正しくない」→「正しくなくても」


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まとめ


以上、詳しく見てきてわかる通り、『プログラムcontinued』、『プログラムcontinued(15th Style)』という曲は、UNISON SQUARE GARDENの多くの楽曲の要素を詰め込んだ曲となっている。要するに、これを聴けばUNISON SQUARE GARDENが今までどんなことを歌ってきたのかということがわかる、ベスト盤を1曲にまとめたみたいな曲だ。こんな風に寄せ集めても内容が通るということはつまり、どの曲も一貫して同じ哲学を基に書かれているということになる。田淵智也すごい。


今日はいよいよ大阪、舞洲で15周年の特別なライブだ。もちろん夏の野外会場でのワンマンなんて、普段のライブとは全く違う。でも、きっと彼らはいつものようにフルカラーの音楽を派手に鳴らして、私たちはそれを見て勝手に楽しむのだ。どうせなら、この際なら、虹を作ってほしい。そしたら誰も文句なんかつけらんないから。

ドラマストア東京レポ

7月7日、七夕の日。ドラマストアの「ドラマチック・ミュージックショー」ツアーファイナルが渋谷WWWで行われた。今回の記事は、そのライブレポートである。


1曲目は最新アルバムの1曲目から『エンドロール』。新たな始まりを告げる歌詞と爽やかな曲調は、ライブの始まりを鮮やかに彩った。

2曲目はライブ定番曲である『至上の空論』。ピアノの美しい旋律とスピーディーな展開を見せるライブの定番曲で、場内のテンションは一気に上がった。

4曲目の『ガールズルール』は、ポップな曲調とかわいらしい歌詞が特徴。Ba.高橋も足踏みをしたり「そういうこと?」という歌詞に合わせて指を指すポーズをしたり、メンバーもノリノリで演奏している様子が伝わった。

5曲目は、今回のツアータイトルと相反するタイトルとなっている『イミテーション・ミュージックショー』。「爆音で鳴らすイヤフォンに飽きた」私たちにはぴったりの曲だ。個人的には「千切れたパンツだって」のところでパンツを思いっきり引っ張っているGt.Vo.長谷川がツボだった。

「学校とか仕事とか行きたくない人にぴったりの曲を作ってきました!」と言って始まったのは新曲『work&work』。こういう風に生活に寄り添ってくれる曲を作るバンドには弱い。

その後も、今の季節にぴったりな『紫陽花が咲く頃』や『秘密』など、過去の名曲が紡がれていく。ドラマストアは、今の曲も昔の曲にも褪せない魅力があるなと思う。

そして長谷川のMC。「5年間、山あり谷ありだった。ファンを辞めてしまいそうになるだろうタイミングは今まで何度もあった。変わらないために変わってきた。」それらの言葉は、ドラマストアが今まで歩んできた険しい道のりを思い出させた。

「でもだからこそ、前よりも上手く歌える曲があると思うんです。」そう言って始まったのは『バースデー』。

「僕が僕のためにできること それはその足を止めないこと」
「今も僕はちゃんと 今も僕はきっと 弱い僕のまま生きてる あの頃よりちゃんと胸を張り」

長谷川の柔らかくも熱の篭った歌声に、涙ぐむファンも多かった。
演奏的な話をすると、バラード曲でありながらかなり多いドラムの手数が、後半になるに連れてどんどん熱量を増していくのは圧巻だったし、静と動のコントラストを生み出すことで一層ボーカルが煌めいて聴こえた。

そして『東京無理心中』。これ音源化してほしいです。

『Lostman』は長谷川の声とGt.Key.鳥山のキーボードだけで静かに曲が始まった。透明感がありつつも胸に刺さる声。そして『きえないまぼろし』。「今の僕を見てくれ」と長谷川が叫ぶようにして始まった『グッバイ・ヒーロー』と、涙腺にトドメを刺してくるバラードコーナーを演奏し終えると、また長谷川のMCが入る。

「普段はお喋りを売りにしているけど、今日は言葉が出てこない。感謝していますとしか言えないけど、それもみんなのせいなんやからな!」なんて長谷川は照れ笑いを浮かべる。そんなこと言われたら、好きよりもっと大好きになってしまう。

そして、まるでお葬式のような状態にしたのはそっちなのに、そんなのお構い無しといった様子で「涙はいらない!まだまだ夜遊びしよう!」という長谷川のフリで『あさきゆめみし』が始まった。ゴリゴリのアップチューンで一気に盛り上がる会場。曲中には各パートのソロもあり、それぞれの演奏技術がいかに優れているかを知らしめることとなった。そしてそのままの流れで『三文芝居』へ。この2曲を並べるととにかく盛り上がる。

そしてライブも終盤。『ディストピア』や『Stand by you』などのアルバム曲が演奏される。ツアーファイナルだからというのもあるのかもしれないけれど、アルバム曲の安定感が凄まじくて、バンドとしての演奏力を感じた。

そして本編ラスト。これもライブ定番曲である『スイミー』からのアルバム曲『世界はまだ僕を知らない』で幕を閉じた。

「また新しくなった“僕ら”は僕を生きていける」

まさしく現体制になったドラマストアを象徴する歌だ。きっとドラマストアはこれからも変わらないために変わり続けて行くのだろう。その姿を最後まで見届けたいと思わせてくれる1時間半だった。

そしてアンコール。NEWシングルのリリースと新しいツアーが発表され、新曲『ラブソングはいらない』が初披露された。一見ネガティヴにも思えるタイトルだが、曲調や歌詞は前向きで、ドラマストアらしいなと感じた。

続いて本編では披露されなかった『冒険譚』。新たなツアーへの高揚感が湧き上がる。鳥山の高速ギターリフが光った。
アンコールラストは『三月のマーチ』。ツアーファイナルである渋谷クラブクアトロでのライブは一月だが、「一月もその先の三月も一緒に!三月のマーチ!!」と始まった。

「いつか僕らも夢を叶えてさ 春夏越えて秋冬を耐えて 君と並べる僕になるから」

彼らが夢を叶える頃には私も夢を叶えているだろうか。季節を越えたクラブクアトロが楽しみで仕方がない。

WEn.は『アンサイクル』。
「エンドロールを待たないまま飛び出した」という歌詞を意識したかどうかはわからないが、1曲目に繋がっていて感心してしまった。まあ、ボーナストラック的位置づけなので偶然だとは思う。しかし、その偶然すら必然と思わせてしまうような力を感じさせる演奏だった。

ここに来るまで様々な紆余曲折を経てきたドラマストア。それでも巡り巡るサイクルをぶち壊して、きっと新しい景色を私たちに見せてくれるだろう。


以下、記憶が定かではないセットリストです。

M01.エンドロール
M02.至上の空論
M03.流星群
M04.ガールズルール
M05.イミテーション・ミュージックショー
M06.work&work
M07.紫陽花が咲く頃
M08.秘密
M09.バースデー
M10.東京無理心中
M11.Lostman
M12.きえないまぼろし
M13.グッバイヒーロー
M14.あさきゆめみし
M15.三文芝居
M16.ディストピア
M17.Stand by you
M18.スイミー
M19.世界はまだ僕を知らない

En.
01.ラブソングはいらない
02.冒険譚
03 .三月のマーチ

WEn.アンサイクル

「新世界ノート」と「流星前夜」

 今年、15周年を迎えるUNISON SQUARE GARDEN。本日7月3日、カップリング全31曲を集めたベストアルバム『Bee side Sea side~B-side Collection Album~』がリリースされた。

 

youtu.be

 

 それと同時に、インディーズ時代にリリースされ、今は廃盤となっていたミニアルバム、『新世界ノート』『流星前夜』も再発となった。今回は、その2つのミニアルバムに関する考察をあげていきたい。

 

  まず、2つのミニアルバムの収録曲について。楽曲はどちらも6曲収録されている。

 

M01.『アナザーワールド』⇔『流星前夜』

M02.『センチメンタルピリオド』⇔『フルカラープログラム』

M03.『さよなら第九惑星』⇔『水と雨について』

M04.『サーチライト』⇔『 2月、白昼の流れ星と飛行機雲』

M05.『ライトフライト』⇔『MR.アンディ』

M06.『箱庭ロック・ショー』⇔『流星行路』

 

 タイトルだけ見ると一見対応していないように見える両アルバムだが、内容を詳しく見ていくと、それぞれが対応していることがわかる。以下、一曲ずつ詳しく見ていきたい。

 

 

 

アナザーワールド

 

 曲名が『新世界ノート』というアルバムタイトルを踏まえているのはすぐわかると思う。内容的には、もともといた世界を離れ、新世界にたどり着いた様子を歌ったものだろう。実はこの歌の歌詞をよく見ると、随所にアルバム収録曲の要素が編み込まれている。

 

「手を繋いだ僕ら」→「この手は離さないでいよう」(センチメンタルピリオド

「ため息は遠く鳴った」→「ほんの小さな吐息で水平線が壊れるなら」(さよなら第九惑星)

「到来の鐘が鳴った」→「とぼけてる天才の鐘の音が鼓膜揺らして」(サーチライト)

「共鳴の花が咲いた」→「ありもしない昔話に花を咲かせては」(ライトフライト)

「吐き出すその場所」→「溢れ出す風景」(箱庭ロック・ショー)

 

 これらのことから、これは『アナザーワールド』という曲として成り立ちつつも、『新世界ノート』というアルバムを一曲で解説しているという風にも解釈できる。また、『アナザーワールド』以外の曲では、「新世界」に至るまでの物語が描かれているのではないかと思う。

 

 また、このミニアルバムに収録されている曲すべてに

 

「なんて新世界だ」(アナザーワールド

「高性能のヘッドフォンなんで世界の音も聞こえません」(センチメンタルピリオド

「嫌いだ、こんな世界は」、「残った『その世界』だけを刻み込んだ」(さよなら第九惑星)

「君は固まった世界をメロディーに変えた」(サーチライト)

世界地図に適当な点を打って複雑なメロディーに変える譜点の海」(ライトフライト)

「君が真ん中な世界」「新世界が描けるのなら」(箱庭ロック・ショー)

 

のように「世界」という単語が用いられていることも、覚えておいてもらいたい。

 

 

 

『流星前夜』

 

 ギターボーカルである斎藤の語りが曲の中にがっつりと組み込まれているものは、バンドのすべての曲の中でおそらくこの曲しかない。どこか淋しくて、不思議な雰囲気を漂わせるこの曲。初めて聴いたとき、ユニゾンっぽくないなあと感じたのは私だけではないと思う。しかし、歌詞を見てみるとやはりユニゾン(もとい田淵)だなあと思った。以下、歌詞を載せる(歌詞カードに歌詞の記載がなく、あくまで筆者の耳コピなのであしからず)。

 

 

 

世界の音が一瞬消え去った静かな夜に

まだ年端もない頃の僕ら虹色のパレットを持って飛び出した

 

昨日の海岸を涙の色にしたのは飛行機雲だっただろうか

そこに辿り着いた時 ローズマリーが大切な嘘をついた

 

誰もいないような星空の下

大きく手を振る

 

どうやら僕はこの瞬間において

そのパレットで新しい世界が描けるらしい

 

でたらめにしか聞こえないと呟きながら一人空を見ていた

でもそれが聞こえたのは確かであって僕はそれを信じたいと強く願った

 

そのまま一人空を見ていた

ただ、一人空を見ていた

 

 

 

 こちらは、おそらく「新世界」に出会う前の時間軸なのだろう。「虹色のパレット」を持った「僕」は、「世界の音が一瞬消え去った静かな夜」に、「新しい世界が描けるらしい」と語っている。この曲も、先ほどの『アナザーワールド』と同様に、収録曲と照らし合わせてみよう。

 

「虹色のパレットを持って飛び出した」→「虹を作ってみよう」「高く、高く飛んだ夕暮れ」(フルカラープログラム)

「僕はそれを信じたいと強く願った」→「1万年前から置き去りにした願い」(フルカラープログラム)

「昨日の海岸を涙の色にしたのは」→「海岸沿いは今日も歴史的な大雨です」(水と雨について)

「飛行機雲だっただろうか」→「あなたの涙を空まで飛ばして、私は飛行機雲」(2月、白昼の流れ星と飛行機雲)

ローズマリーが大切な嘘をついた」→「カリソメローズマリー嘘をついて、消えた」(MR.アンディ)

「飛び出した」→「流星のまま飛び立って」(流星行路)

 

 このように、『流星前夜』も『アナザーワールド』と同じ構造になっていると言える。また、

 

世界の音が一瞬消え去った静かな夜に」(流星前夜)

「ちょっとだけ世界と仲良くなったあなたは」(フルカラープログラム)

「そうやって世界の常識がひっくり返るのを待っている」(水と雨について)

「それはなんて素敵な銀世界でしょう」(2月、白昼の流れ星と飛行機雲)

「今の世界を少しだけ楽しくできるよ、存外に」(MR.アンディ)

「全ての音色をこの世界に残す」、「そしてまたその世界が無限に広がってく」(流星行路)

 

 上記のように、『流星前夜』の収録曲にも、歌詞中に「世界」という語が用いられている。この2つのミニアルバム、やはり何か関係がありそうである。

 

 

 

センチメンタルピリオド』と『フルカラープログラム』


 この曲にも共通する点がある。それは、虹に関する表現だ。『センチメンタルピリオド』では、「形あるものだけを空に映したレインボウ、未完成 未来永劫を照らしてるかのようなレインボウ、未完成」とあり、『フルカラープログラム』では、「どうせなら、この際なら虹を作ってみよう」と歌っている。UNISON SQUARE GARDENの楽曲で多くモチーフとして登場する虹。今回の2つのミニアルバムでも、「七色強に溶けて混ざっては」(サーチライト)「星屑の声いつか七色に消え去った」(流星行路)などは、直接「虹」と言わずとも虹のことを歌っているのだとわかる。今回の2曲(センチメンタル、フルカラー)を踏まえて書かれたと思われる『プログラムcontinued』でも「続けフルカラー」と歌われていることから、バンドの理念というか、理想が「虹」なのかな、と私は考えている(これについては改めてきちんと別の記事にまとめたい)。

 ちなみに、『フルカラープログラム』で「言えなかったバイバイ」とあるのに対し『センチメンタルピリオド』では「それも別に悪くねぇよ、バイバイ」と言い切っている。

この2曲は「虹」や「バンド全体のテーマ」について歌ったものだと考える。

 

 

 

『さよなら第九惑星』と『水と雨について』

 

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 この2曲に関してはけっこう共通点が多い。まず、この2曲の主人公「僕」は、どちらも世界に対してネガティブな意識を持っている。それは、先に挙げた「嫌いだ、こんな世界は」、「そうやって世界の常識がひっくり返るのを待っている」などの歌詞からもわかるだろう。また、どちらの曲にも会話相手として「君」が出てくる。「吐息」と、「ため息」という表現も似ている。歌の終わり終盤には、「惑星に気を取られて今日がまた終わる」「揺らいでいく水槽に、落ちる」この最後の表現も、それぞれ「惑星」と「水」に振り回されるような「僕」の様子がうかがえる。また、『さよなら第九惑星』で「消えちゃいそうな声」とあった君が、『水と雨について』では「幻だって気付いた」とされている。この2曲の「僕」と「君」がそれぞれ同一人物だとしたら、「狂いだした、いつからだ?」という歌詞は、幻を見ていた自分に対する言葉ととることができる。

 

 

 

 『サーチライト』と、『2月、白昼の流れ星と飛行機雲』

 

 この2曲から、それぞれのアルバムの雰囲気がガラッと変わる。前曲はどちらも少し刺々しい物言いだったのが、この曲はどちらもやわらかい物腰になっている。それに伴い、曲自体もバラード調になっている。ここで注目したいのが、『サーチライト』は男性目線の歌詞、『2月』は女性目線の歌詞になっているという点である。『サーチライト』の「何処へ行ったの?また会えるかな」に対し、『2月』では「忘れちゃいけないことはここにあった」と歌われている。また、「カリフォルニアにさえも初夏の風が吹く」と「春が来れば溶けて、新しい風が」は対応する部分である(時間の経過を表すと解釈することもできる)。さらに、「ごめんねきっと君には届かないだろう」と「ねぇまた言葉が途切れて夢になっても」も、言葉が伝えられないことを表現しているという点で対応する。これらのことから、歌に登場する「僕」=「あなた」、「君」=「私」と言うことができるのではないかと考えた。

 

 

 

『ライトフライト』と『MR.アンディ』

   

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 どちらの歌もカタカナ語が歌詞の節々に用いられているのが印象的である。歌詞の表現で共通するのは、「余計なイミテーションの抗生物質で今日も朝焼けを恐がって眠る午前の4時」と「僕らは悩んでないのに朝が来て」という部分、「ありもしない昔話に花を咲かせては過去を無くしてひとりぼっち」と「カリソメローズマリー嘘をついて消えた」という部分である。しかし、内容的にはあまり被っているとは言いがたい。むしろ、『MR.アンディ』がポジティブな曲調や歌詞であるのに対し、『ライトフライト』は「ひとりっぼっち」という語が頻出することからも少しネガティブな印象を受ける。

 ちなみに、『ライトフライト』の「そして耳を塞ぐことをちょっとだけやめて」は『センチメンタルピリオド』の「高性能のヘッドフォンなんで世界の音も聞こえません」という歌詞から繋がっているものだと考えられる。

 

 

 

『箱庭ロック・ショー』と『流星行路』

 

 『箱庭ロック・ショー』の「流星になった子供達」は間違いなく『流星行路』の「流星のまま飛び立って宇宙のスピードに追いついた」子供達を指す言葉だろう。また、「小さな箱庭だってほら、無限を解き放って」と「そしてまたその世界が無限に広がってく」という表現は共通している。また、「ふがいないモノクロームコントラスト僕の絵の具じゃちょっと足りないからさ向こうへ」と「星屑の声いつか七色に消え去った」は虹に関する表現である。「全てのストーリーを流線型にしたい」「全ての音色をこの世界に残す」つまり、新世界に行くことを望みながらも過去は忘れないように、ということを歌っているのではないだろうか。

 ちなみに、「乾いた部屋と超新星の波間でかくれんぼの言い訳」は『プログラムcontinued』の「超新星アクシデントみたいなこと」に繋がっていると考察できる。また、「止まないマイクロフォン」という歌詞は『マイクロフォン』という曲を踏まえてのものだろう(こちらの音源は公開されていない)。

 

 

 

そして『アナザーワールド』へ

 

 ここまでそれぞれミニアルバムの曲が、曲順に対応しているという話をしてきた。最後に、もう一度『 アナザーワールド』の話をしたいと思う。『アナザーワールド』は『新世界ノート』を解説する曲になっている、と先述したのだが、実は『流星前夜』の曲の要素も含んでいる。

 

『フルカラープログラム』の要素

「悲しみを一つ」→「いつか終わる、悲しみは」

「高く昇って行った」→「誰よりも高く、高く飛んだ」

「さよなら、もう行くよ 優しい想いを全部」→「言えなかったバイバイを 優しさで、そっと包んで」

 

『水と雨について』の要素

「浮かぶこんな気持ちは、幻」→「君が幻だって気付いたけど」

「ため息は遠く鳴った」→「明日晴れるのはため息のせいなんかじゃなくて」

「ずっと止むことのない 感情の雨」→「海岸沿いは今日も歴史的な大雨です」

 

『2月、白昼の流れ星の飛行機雲』の要素

「時を止めた旅人」→「少し季節に足踏みさせて」

「高く昇って行った」→「あなたの涙を空まで飛ばして」

「忘れられた答えを全部」→「忘れちゃいけないことはここにあった」

 

『MR.アンディ』の要素

「手をつないだ僕ら」→「手をつないでみよう」

「喜びを一つ」→「ヨロコビに似た天気です」

「沈むこんな三日月」→「月が出るみたいです 君にはまだ見えないけど」

「手が届く全部持って行かしてよ」→「触れ合うとこだけもらっていこう」

 

『流星行路』の要素

「時を止めた旅人」→「坂道の子供達 時間を忘れちゃって」

「いつか 捉えた君の手は どうしようもない程 茜を指した」→「オレンジの風いつか虚空を伝わった」

 

 このように、『アナザーワールド』もまた、『流星前夜』の楽曲の要素を含んでいる。ここで、それぞれのアルバムのリリース日を確認してみよう。『新世界ノート』は2006年8月1日にリリース後、2008年1月16日に再発。『流星前夜』は2008年1月16日にリリースされている。このことから考えると、『流星前夜』というアルバムは、『新世界ノート』を踏まえたものだと考えられる。しかし、歌詞の内容や時間軸を確認すると、『流星前夜』が『新世界ノート』の前日譚であるような印象を受ける。実際、『流星前夜』では、『アナザーワールド』で表現される「新世界」に行く前の「世界」が表現されているように思える。


『流星前夜』の「世界

                   ↓

『新世界ノート』の「世界」

                   ↓

アナザーワールド』の「新世界」


ㅤ図解するとこんな感じだ。リリースされたのは『流星前夜』の方が後だが、実際歌が作られたのはもしかしたら『流星前夜』の方が先だったのかもしれない。もしくは、『新世界ノート』の前日譚とするためにその歌の要素を随所に組み込んだのかもしれない。しかし、それは本人たちにしかわからないことなので、ここでの明言は避けたい。

 

 

 

まとめ

 

 ここまで長々と述べてきたが、一番驚くのはこれらの楽曲がすべてメジャーデビュー前の楽曲であるということである。このアルバム自体、インディーズ時代に発売されたものだ。インディーズでここまでアルバム全体の構成やアルバムの中の物語性、ほかのアルバムとのつながりを意識しまくっているアーティストって、ほかにいるんだろうか。いや、いない。反語である。

 今回色々考察してきたが、これらも100%合っているわけなんてないし、思いっきり見当違いなことを言っているのかもしれない。でも、答えが明示されていない少しわかりづらい歌詞だからこそ、こうやって様々な想像を膨らますことができるのだと私は思う。皆さんも、自分だけの「新世界」を想像してみてはいかがだろうか。

 もし、『新世界ノート』も『流星前夜』もまだ手に入れていないという人がいるのなら、ぜひこれを機に入手していただきたく思う。きっと、新たな世界が見つかるだろう。