THE KEBABSにインタビューしました

 


タイトルの通りTHE KEBABSというバンドにインタビューさせていただきました!(メールインタビューのため直接ご本人とお話ししたわけではないです。直接話したら今頃死んでます。いろんな意味で。)

 

THE KEBABSにインタビューしました

 

前説

 

そもそもTHE KEBABSって何者?

私のフォロワーさんやこのブログをご覧になっているような物好きな方々には耳だこかもしれませんが、一応ご紹介しておきます。THE KEBABSは2018年に結成されたロックバンドで、メンバーは

 

田淵智也さん(UNISON SQUARE GARDEN

佐々木亮介さん(a flood of circle

新井弘毅さん(ex.serial TV drama

鈴木浩之さん(ex.ART-SCHOOL

の四人です。

 

2月26日にはメジャーデビューアルバム『THE KEBABS』をライブ盤でリリースすることになっています。個人的にデビューアルバムがライブ盤ってめちゃくちゃアツいです。曲も個性的で下の曲は「踊れるやついるか」、「猿でもできる」この二つの歌詞しか出てきません。覚えやすいし楽しい。そしてなぜかかっこいい。

 

 

THE KEBABS / 猿でもできる (Official Music Video)

 

インタビューのきっかけと動機

 今回インタビューするに至ったのは、下のツイートを見かけたのがきっかけです。

 

f:id:literock:20200219125911j:plain

https://twitter.com/kebabs_band/status/1207223911324119041

 

最初は素人がこんなとんでもない方々にインタビューするなんて恐ろしくて絶対にできないな~とスルーしていましたが、最後の最後で滑り込み応募をしたところ、まさかのOKをいただきました。手汗止まらなかったです。以下はメールでお送りしたもの。

 

THE KEBABS又は音楽シーンに対する考え方と今回の応募に対する動機

 

THE KEBABSさんに関しては、食べ物に例えるとその名の通りジャンクフードのようなバンドだと思っています(頭を使わずに楽しめるが、味は本格的というイメージです)  

 

初めてその音楽を聴いたとき、個々の音楽活動とは毛色が異なる、それぞれの遊び場であるというような印象を受けました。これは、メンバーの方々が個々の音楽を確立させたからこそできるものだと思います。

 

 私は元々UNISON SQUARE GARDENさんのファンで、音楽においては歌詞に重きを置いて聴くことが多かったため、『THE KEBABSのテーマ』を初めて聴き、その歌詞を見たときはまるでコミックバンドのような歌詞だと思いました(コミックバンドも大好きです!)。しかし、曲中の歌詞や公式サイト等に「We're tasty Rock Band」とあるように、曲は想像以上にガッツリとしたギターロックで、そのギャップに胃袋を掴まれてしまいました。また、『ジャキジャキハート』の「みっともないのが当たり前だから つまりみっともないのがかっこよくなるんだぜ 一か八でもなんでもないんだ この道しか知らねえよ」という歌詞はTHE KEBABSさんの信念のようなものを感じて個人的にかなり好きな部分です(見当違いでしたら申し訳ないです)

 

 ライブにも何度か行かせていただいていますが、THE KEBABSさんのライブは他のアーティストに比べてお客さんが個人個人で自由に楽しんでいる人が多いなという印象です。事前に発表された音源が少なく、最初はどうやってライブを楽しめばいいのかと思っていましたが、次々に披露されていく初めて聴く曲たちに、気づけば夢中になっていました。決められたルール(最低限のマナーは必要ですが)がなくても楽しめて、かつ、誤解を恐れずに言えば、ふざけているのにかっこいい、お客さんにとっても楽しい遊び場のようなバンドであると思います。田淵さんがよく言及されている「一体感至上主義」のような概念は、THE KEBABSさんのライブには存在しないと認識しています。

 

次に、今回の応募に対する動機についてです。

 

前回のメールにも書きましたが、私は元々卒業論文J-POPの歌詞に関する研究をしたいと考えていました。普段関わることはほぼ絶対にないであろう、アーティストから直接お話を伺うことのできる貴重な機会だと思い、今回の応募に至りました。卒業論文には掲載不可ということで少し残念ではありますが、インタビューさせていただいた内容は、個人ブログの方に掲載させていただきたいと思います。また、自分の卒業研究について考察していく上でも、参考にさせていただけたらと思います。

 

今見返すと若干痛いですね。はい。

 

インタビュー内容

 前置き長くてすみません。ようやく本題のインタビューの回答です。今回は田淵さんと佐々木さんお二人が回答してくださりました!ありがとうございます!

田淵さん回答

 

・色々な方からのインタビューを受けていらっしゃいますが、今後もこのようなリスナーを巻き込む企画などをする予定はありますか

 

←一度こういうことをやると面倒な人も後乗りしてくる可能性はあると思うので、様子は慎重に見たいなとは思っています。ユーザーっていいやつ普通に多いじゃんというのは本当に最近思える様になってはいて、基本僕は性善説で生きているので、ユーザーのモチベーションのやり場を作ってあげることで世の中はもっと良くなると思っているのですが、元々街で声かけられるとか、近い存在だと思われる事にとてつもない嫌悪感があるので、結果僕の常識を飛び越えてくるやつを生む可能性を助長する形になるなら、こういうことは飽きるだろうなあとは思ってます。バンドやることが目的なのでそれ以外はなんでもいいです。

 

・THE KEBABSの楽曲の作詞の際に心がけておられること

 

←あんまり考えて取り組まないこと。矛盾や破綻を恐れないこと。

 

佐々木さん回答

 

・音楽的にはUKロック等を参考にされたと雑誌のインタビューにありましたが、歌詞の内容やテーマは何を参考にされたのでしょうか

 

←UKロックを参考にしたって答えてたとしたら、俺じゃないメンバーかな?THE KEBABSの曲で何か具体的な作品を参考にしたっていうつもりなくて。それってスタンスが尖ってるとかじゃなくて、THE KEBABSはそんなに学究的に曲を作っていない、という意味で。でもまあルーツが自然と出てるのはあると思う。「ホラー映画を観よう」のギター・リフとかちょっとブラック・サバスっぽいなって思うし、それは確かに「UKのロック」だな。

 

そんな感じで、「歌詞の内容やテーマ」に関して意図して参考にしたものとかは正直、特にないすね。

 

でもそれじゃこの話終わっちゃうもんね…

 

強いて言えば、THE KEBABSの歌詞は言葉遊びや直感が先行しているもので、その後で物語やメッセージめいたものが生まれちゃってるだけ、とは言える。

 

曲作りも同じ感じでやってて、基本的にはセッションで閃いたリフやビートを曲として展開させていて。コンセプトめいたものを用意してから作る訳じゃない。これは作詞もそう。

 

歌詞をじっくり書き込むと...直感で出てきた言葉よりも重たくなってしまうというか、「表現のスピード」が遅くなるというか、真面目になっちゃうというか、しっかりしちゃうというか、良い子っぽいというか、整合性が取れちゃうというか、何か大事なことを言葉で伝えようとしちゃうというか、逆に「直感で書いたかのような違和感を持たせよう」みたいな狙いが滲み出ちゃう時もあるというか、そういうもの達、THE KEBABSがあんまり求めてないもの達が発生してくる。

だから、たまたま何かを参考にしてないんじゃなくて、意志を持って何も参考にしてない、とは言える。

 

 

 

・J-POP(特に邦楽ロックシーン)における歌詞の重要性についてどう考えていらっしゃるか

 

←たぶん俺達も分類されてしまうであろう「J-POP(特に邦楽ロックシーン)」というものにそこまで詳しくないけど、俺自身はリスナーとしても書き手としても歌詞が殊更重要に感じる時もあるしテキトーに書く/受け止めるくらいが丁度良い時もある。

 

しかし「重要性」ってどういうことだろう。

 

例えば 田淵さんが書いた「猿でもできる」という曲の歌詞には「猿でもできる」と「踊れるやついるか」の2行しか出てこないけど、俺には「これしかない、ぴったりの言葉が載っている」と感じられる。そしてこれを「田淵さんが15年のキャリアの中で培ってきたスキルをTHE KEBABSの表現のために直感的に引き算し尽くして必要最低限まで研ぎ澄ませた珠玉のもの」と捉えられる。だから、まあ「言葉」だけで考えちゃうと2行を繰り返してるだけの歌なんだど、これは「歌詞」だから、少ない言葉の方がそれを歌うたび/聴くたびに色んなニュアンスを入れたり感じたり出来もする。1曲の中で何回「踊れるやついるか」と問いかけてるのかわからないけど、俺は全ての「踊れるやついるか」をそれぞれ違う人の違う踊りがOKになるイメージで毎回違うニュアンスで歌おうって思うし。そうすると、重厚に書き込まれた言葉の連なりよりも少ない言葉の方が「歌詞」としてキラキラ輝いて見えたりもする。言葉数が多すぎると意味性やイメージが制限されやすくはなる気がするし。だから、少なくとも「猿でもできる」の歌詞は重要だと思ってるね。でも「こんなの思いつきでまじ意味のないどうでいい重要じゃない歌詞」と捉える人もいるだろうし、それでもいいし、そこはそれぞれだもんな。

 

聴き手が重要と考えていても、作り手がそこまでじゃないという可能性はあるかもな。だって、楽器の奏法、作曲/アレンジ、録音/エンジニアリングに関する本や雑誌って山ほどあるんだけど(「ギター・マガジン」とかね)でも「歌詞マガジン」ってこの世にない訳で。歌詞を語る本の方が、器楽的なものに比べて圧倒的に少ない。音楽全体の話と考えれば、歌詞のない音楽の世界だってめちゃくちゃ面白い訳で、まあ歌詞について語るべき音楽の世界の方がむしろ狭いとも言えるかもなんだけど。ともかく、そういう状況だけを切り取ってみると、歌詞を学究的に研究しようって人が少ないからなのかな?とは考え得るよな。楽器の技術的なことほど共通言語を持って歌詞を語り合うのは難しいと思われてるのかも知れないけど、だとしても例えば現代詩を文学的に学究的に扱ってる雑誌はいくつもある訳だから。

なんとなく踏み込めないパーソナルなものとして、もしくは「降ってくる」的なもの/神格化とまで言わないけど「有り難いもの」として扱っちゃうと、それについて語り合う事とか批評性が必要ないと考えられちゃうのかも知れない。もちろん批評精神のある人もたくさんいるし重要視されてないとまでは思わないけど、今よりもっと重要視してみたら面白い発見もあるかも知れないとは思うね。

 

お二人ともご回答ありがとうございました! 

 

感想

 

 

今回はこんな貴重な経験ができて本当に幸せでした。直接お話ししたわけではありませんが、お二人の意見が聞けてとても嬉しかったです。

 

途中の志望動機のところにも書いてありましたが、現在大学生の私はJ-POPの歌詞研究についての卒業論文を書こうとしています。それは例えば曲自体が持つ物語の解釈であったり、アルバムの曲の構成であったり、今までのブログ(少ないですが)に書いてきたようなものをよりパワーアップさせたようなものです。

 

佐々木さんが回答で、「歌詞を学究的に研究しようって人が少ない」とおっしゃっていた通り、実際J-POPの歌詞を研究してる人は多くないです。先行研究も本当に少ない。でもTwitterとかでは歌詞の考察とかしている人は多いなと思います。なら、需要はあるのかなとも思う。今回のインタビューでより自分の研究に対するモチベーションが上がりました。

 

また、改めてTHE KEBABSというバンドは面白いバンドだなと思いました。あまり深く考えずに、シンプルな言葉を用いて、閃きや思い付きで作られた曲が、なぜこんなにも多くの人の心をつかむのか。

 

それはやっぱり彼らの音楽がかっこいいからなのだと思います。

 

私は普段歌詞を重視して曲を聴くタイプの人間なので、緻密に計算して作られた曲を解読していく感覚がとても楽しいと感じます。けど、THE KEBABSの曲はそれとは逆に、脳みそを空っぽにして楽しむような面白さがあると思っています。曲自体はめちゃくちゃかっこいいのに、歌詞はよくわからない。そのギャップも全部込みで、好きなバンドのひとつです。今度のライブも今後の企みもとても楽しみ。

 

 

今回のインタビューのような企画は田淵さんの口ぶりからすると今後はしないのかもしれませんが、参加できて光栄でした!長文にお付き合いいただきありがとうございました!